- 2017.12.22 Friday
スピンドル の話
むか〜しむかしのそのまた昔、スピンドルといえば木製の、円盤が下にあるドロップスピンドルもしくはサポートスピンドル(それぞれInstagramが開きます)くらいしか見当たりませんでした。(当時の私に英語のソースにあたる、という知恵がなかったせいもあります)
今はロシアンスピンドル、スコティッシュスピンドル、ターキッシュスピンドル(それぞれInstagramが開きます)、精緻な木彫を施したものやレーザー彫刻が施されたもの、樹脂にドライフラワーやビーズを閉じ込めたもの、3Dプリンタで出力しているもの等々、世界各地で独自の進化を遂げた、様々なスタイルのスピンドルが、SNSの発達に伴ってどんどん日本デビューを果たしています。
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スピンドルにはおおまかに2種類あります。
空中にぶら下げて紡ぐ「ドロップスピンドル」と、
地面に立てて(接地させて)使う「サポートスピンドル」です。
ドロップスピンドルは(スピンドルを回すコツさえつかんでしまえば)両手で糸を作ることができるので、比較的自由度が高いのではないでしょうか。ただドロップスピンドルの場合、出来上がる糸の太さは、スピンドルの重さに比例します。重いスピンドルは太い糸に、軽いスピンドルは細い糸になる。
糸を紡げば紡ぐほど(スピンドルと糸を合わせた自重が重くなればなるほど)出来上がる糸は太くなっていきます。
サポートスピンドルのいい点は「スピンドルを皿に立てて使うので、スピンドル自体の重さが糸に影響しにくい」という点かと思います。その代り一方の手はスピンドルにかかりきりになりがちなので、紡ぐ素材をちゃんとカードして繊維を引き出しやすくしておくことが必要です。
ひつじやスピンドルは「軽さ」に拘っているあたりからもお分かりいただけるように「ドロップスピンドル」です。
ただし、回すのに慣れるまでは手放さず横向きに持つことをおすすめしています。持って回しやすいように円盤が上(トップホイール)なのですよ
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イベント会場などで「挑戦したけれどうまくいかなくて……ションボリ」と聞くことも多いです。
興味があって入手しても、うまくいかなくて諦めてしまわれる方が多いのですね。
正直なところを申し上げて、ネットや書籍をもとに独学ONLYで希望の糸が紡げるようになるのは本当に難しいだろう、と思っています。
初心者がつっかかるポイントというのは数パターンあるのですが、どのケースに該当するのか、どう対処したらクリアできるのか、だらだら文字を連ねるより、もう直接お教えした方が絶対に早いし簡単。
しかし、あえて文字に起こそうというのが今回の試みです。
だってせっかく興味を持ってトライしたのに、「上手くいかなくてションボリ」は悲しい。
完璧なフォローは無理ですが、つっかかり突破の小さなヒントにでもなれば幸いです。
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糸がうまく作れない、は大まかに2パターンに分かれるかな、と思います。
1.糸がすぐ切れてしまう
2.羊毛が上手く引き出せない(ダンゴになる)
1.糸がすぐ切れてしまうから考えてみましょう
原因として考えられるのは
1−1.撚りが足りていない
1−2.スピンドルが重い
です。
どちらか片方の場合もありますし、両方の場合もあります。
1−1.撚りが足りていないを解消するためには、純粋に回転数を増やせばよいのです。
しかし過ぎたるは及ばざるがごとし、加減が重要。やりすぎると2.の問題が発生します。
1−2.スピンドルが重いは重めのスピンドルをドロップで使っている場合に起こりがちです。接地させてサポートスピンドルとして使うか、軽いスピンドルに替える、もしくは意識して紡ぐ糸を太くしてみましょう。
大丈夫、繋がっていれば糸です。
糸の太さがまちまちで〜とか、撚り撚りの具合が〜とか、そういうところに注文つけるのはもっと慣れてからでも遅くない。
ドロップの場合は20g〜30gくらいが重さを意識せず、紡ぎやすい重さではないかなあ、と個人的には思っています。(あくまで個人の感想です)
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2.羊毛が上手く引き出せない(ダンゴになる)
原因は「撚りが多すぎる」(引き出す繊維の量と長さに対して、撚りの回数が多い)ためなのですが、じゃあなんで撚りが多くなるのか、というと
2−1.羊毛がすっと出てこない
2−2.羊毛を引っ張るとき、手と手の間隔が狭い
が考えられます。
2−1.羊毛がすっと出てこないは、手に持っている羊毛の量が多すぎる、羊毛をぎゅうっと握ってしまっている、また羊毛の状態が悪くて引き出しにくい場合などがあります。
・慣れるまでは手に持つ羊毛の量は少な目のほうが楽です。慣れてきたら増やせばいいので、最初は指の幅&手のひらに収まる長さくらいのごくごく少量でやってみましょう。
・羊毛は軽く、かる〜く持ちましょう。ぎゅうっと力を入れて握り込むと肩が凝りますし、場合によっては手汗で軽くフェルト化(!)します。
・フェルト化した羊毛からはすっと繊維は引き出せません。事前によくほぐしましょう。
梳毛の場合はほぐした羊毛を繊維の方向にひっぱってロービング(粗紡)にする、紡毛の場合はローラッグを薄くする等の下準備をしておくと気持ちよく紡げます。
(特に紡毛を紡ぐときのローラッグは人によって「気持ちよく紡げる厚み」が違います。何パターンか作って、自分が一番紡ぎやすい形を調べてみるといいですよ)
・メリノは繊維がとても細いので、紡いでいて「粘り」を感じることがあります。慣れるまではシュロプシャーやコリデール、ロムニーなど「ざらっとした感じ」の太めの繊維で練習してみましょう。
2−2.引っ張るときの間隔が狭いですが、羊毛というのは通常7cm前後あります。なので、右手と左手の間で羊毛を伸ばす場合、距離(間隔)が最低10cmくらいはあいていないと「1本の羊毛の端と端を掴んでしまう」ので、いくら力を入れても伸びません。(その1本の繊維が切れない限り、伸びない。すごい力が必要です)
あまり距離をあけると切れそうで怖いかもしれませんが、そこは撚りを加減して、切れないくらいに撚りを入れつつ、伸ばしていくのがコツなのです。
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羊毛を引き出す加減と、
撚りをかける加減。
この2つをうま〜くバランスをとっていくのが「手紡ぎ」
です。
百聞は一見に如かず。
一人ではもうどうにもならん!と思ったら、出来る人に聞くのも手です。
イベント会場で、ひつじやのブースまでお使いのスピンドルお持ちいただければ、その場でご相談に乗ります。あ、でもひつじやの商品、何か買っていってね・笑
イベント出展予定はひつじやWebのトップに掲載しております。
どうぞお気軽にお立ち寄りください♪
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- by ひつじや てる